「野球は高校で終わろう」と思っていた呉港の田中多聞（たもん）。その田中を指導するのは、阪急など3球団で16年間現役生活、広島で16年間コーチを務めた片岡新之が田中選手の魅力を語ると、「練習、試合での全力疾走を絶やさない、頑張り続けられる精神がある。プレーでも打つだけじゃなくて、走る力、投げる力があるのでプロでも間違いなく通用します。素材としても推薦できるし、（大学などを経由して）４年後にプロに入るよりも早く出てきますよ」
田中は大阪府出身。周囲よりも少し遅い小学５年で野球を始め、中学は、かつて甲子園を席巻した「浪商」こと大体大浪商の付属中へ。同校の野球部にあたる大体大浪商シニアでプレーした。中学野球引退後は、硬式の各種連盟に無所属ながら数多くの甲子園球児を輩出している南大阪ベースボールクラブに所属した。大体大浪商シニアではレギュラーだったものの、南大阪では既存の主力たちに割って入ることができず、控えに甘んじていた。そうした経験から、
「プロのスカウトが興味を持っている。プロに行けるチャンスがあるぞ」
と聞いても、実際にスカウトが視察に訪れる姿を見て、純粋な喜びを感じた田中は、一方で「本当に自分がプロに行けるレベルなのか？」という疑念も抱いていた。これまでの野球人生で「本気で自分を追い込んで練習できていなかった」負い目があったからだ。
 | 高校で野球を終えるはずが...元プロ監督、熱血部長に導かれ覚醒。呉港・田中多聞は高校通算48本塁打のドラフト候補になった …体大浪商の付属中へ。同校の野球部にあたる大体大浪商シニアでプレーした。中学野球引退後は、硬式の各種連盟に無所属ながら数多くの甲子園球児を輩出している南… （出典：webスポルティーバ） |
